トピックス ウェゲナー肉芽腫症の診断と治療
1.ウェゲナー肉芽腫症(総説)
長澤 俊彦
1
1杏林大学第一内科
pp.907-916
発行日 1995年10月20日
Published Date 1995/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901215
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ウェゲナー肉芽腫症(以下WGと略す)はドイツの病理学者Wegenerが1939年に最初に独立疾患として報告した疾患である1)。1990年83歳の誕生を祝してドイツのZweibrückenで弟子達が彼を招いてWGと関連血管炎のシンポジウムを開いた。この時の彼の写真と彼自身の講演の出だしの一節を示す。(図1,表1)2,3)。WGはここに記されているとおり,①上気道と肺の壊死性肉芽腫,②壊死性肉芽腫性血管炎,③壊死性半月体形成腎炎,をtriasとする疾患である。この催しの2か月後にWegenerは亡くなった。
筆者自身始めてWGという疾患を知ったのは,1961年急速に進行する腎不全で死亡した17歳の少年の受け持ち医となり,剖検によりWGと確認した時に始まる4)。当時,少なくともわが国の内科領域では1,2の症例報告を見るにすぎなかった。その後,絶えずこの疾患に関心をもち続けて今日に至っているが5,6),この疾患ほど病因,病態について解明が進めば進むほど奥底の深い疾患はないといっても過言ではなかろう。また,臨床的にも耳鼻科,内科(膠原病科,呼吸器科,腎臓科)を中心に多くの診療科が関与するきわめて興味深い疾患である。
以下WGの病理,基礎的研究,臨床について発展の歴史を振り返りながらoverviewすることにしたい。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.