図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・11
慢性肉芽腫症
田中 葉子
1
1東京歯科大学市川総合病院小児科
pp.2466-2471
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903396
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●はじめに 慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease:CGD)は,食細胞機能の低下により乳児期より重症感染症を反復する先天性免疫不全症候群である.本邦においては現在165例が登録されており,発生頻度は3.57人/100万人,年間発生数は4〜5人と推定されている.欧米の推定発生頻度1〜2人/100万人より高いようである1).
本症は1957年に初めて報告され,1960年代には,本症における易感染性の原因が好中球の酸素依存性細胞内殺菌能の障害であることが明らかにされた.1970年代には,NADPHオキシダーゼ(NADPHを基質として酸素に電子〔e-〕を渡し,スーパーオキシド〔02-〕を産生する酵素)の障害が本症の一次的病因であることが明らかにされた.
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