特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域 腫脹の診断
24.頸部の先天性嚢胞
竹内 裕美
1
1鳥取大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.132-136
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901032
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はじめに
頸部の先天性嚢胞の多くは,無痛性の軟らかな頸部腫瘤以外の症状を呈することは少なく,特徴的な症状がないために悪性腫瘍を含めた頸部の腫瘤性病変との鑑別が問題となる。最近のMRIをはじめとする画像診断法の進歩により診断は比較的容易になってきているが,他の腫瘤性病変との鑑別に苦慮することも少なくなく,また摘出に際しては副損傷や取り残しによる再発の危険性があるため,耳鼻咽喉科医にとっては熟知しておくべき疾患の1つである。
頸部の嚢胞性疾患のうち,その発生原因が胎生期に起因するものには正中頸嚢胞・側頸嚢胞をはじめとして多くの疾患が挙げられるが,本項ではcystic hygromaなどの脈管系の疾患は他項に譲り,正中頸嚢胞,側頸嚢胞,皮様嚢胞,また頻度は低いが上皮小体嚢胞,頸部胸腺嚢胞について述べる。
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