特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域 腫脹の診断
16.扁桃の腫脹
林 泰弘
1
1和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.87-91
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901024
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はじめに
口蓋扁桃を中心とするワルダイエル咽頭輪は気道と消化管の入口に存在するmucosa-associatedlymphoid tissue (MALT)の1つである。MALTは外的環境に直接曝露している粘膜を防御するための免疫器官であり,常に軽微な感染を許容しながら免疫応答を繰り返している。乳幼児期よりリンパ濾胞の数,大きさが増え,通常5〜7歳をピークとする生理的肥大が起こる。この肥大は学童期後半に漸次退縮していくが,成人まで持続することがある。また強い急性炎症が起こると扁桃は一時的に腫脹する。そのほか,腫瘍性に腫脹することも比較的多く認められる。口蓋扁桃,咽頭扁桃,舌扁桃(領域)に腫脹をきたす主な疾患を表1に掲げる。このなかで,遭遇する頻度の高い口蓋扁桃,咽頭扁桃の腫脹を中心に,日常臨床上重要と思われる項目に関して述べる。
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