ニュース診断
「沖縄問題」のみかた
戒能 通厚
1
1東京大学社会科学研究所
pp.57
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204121
- 有料閲覧
- 文献概要
今月は,やや難解な問題ではありますが,私たちにとって重要な沖縄問題を考えてみることにします。
敗戦後,日本は連合国の占領下にありましたが,1951年,いわゆるサン・フランシスコ条約で,ソ連等を排除した連合国と日本との講和が成立しました。正式には「日本国との平和条約」というこの条約の第3条が,さきごろ臨時国会で問題にされた沖縄・小笠原の「施政権」返還問題と,重要な関連があります。つまりこの第3条は沖縄・小笠原を「合衆国を唯一の施政権者(Administering Authority)とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも」日本政府が同意する義務があることを定めた上,右の提案が行なわれ,可決されるまでは「合衆国は,領水を含むこれら諸島の領域および住民に対して,行政,立法および司法上の権力の全部および一部(all and any)を行使する権利を有するものとする」としています。この条文のいうように,合衆国は沖縄,小笠原に対し,無限に「自由な」統治を行なってきました。一例を沖縄についてあげるならば「琉球」行政主席はアメリカの高等弁務官が任命します。「琉球」立法院議員は,県民の選挙で選ばれますが,立法院の議決した法案・決議は,高等弁務官の「布令」で無効にすることもできます。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.