特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
18.嚥下痛
小川 浩司
1
,
橋口 一弘
1
1北里研究所病院耳鼻咽喉科
pp.70-71
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900381
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嚥下時に痛みを覚えるということは,口腔,咽喉頭,食道およびその周辺臓器に異常があることを疑わせる臨床上貴重な症状であり,疾患の存在を正しく判断することは外来診療における大事な項目である.
嚥下痛はその発症のメカニズムを考えると,まず自発痛がある場合とない場合に分けられ,次に飲食物を嚥下することによって,その刺激で痛みが増強あるいは誘発される場合と,飲食物なしの空嚥下によっても痛みが増強あるいは誘発される場合とがあり,それぞれの組み合わせが考えられる.飲食物が通過した時のみに痛みがあるということは,飲食物が直接接触する表面,あるいはそれに近いところに病変があることを意味する.喉頭,咽頭,喉頭および食道のすべての炎症性,潰瘍性ならびに閉塞性病変と異物は,食物が通過したり狭窄部に貯留するときに種々の程度の痛みが生ずる.
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