鏡下咡語
絶対音感と脳
宇野 彰
1
1江戸川病院リハビリテーション科言語室
pp.434-435
発行日 1990年5月20日
Published Date 1990/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900075
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絶対音感とは,楽音の絶対音声を瞬間的に知覚し得る聴覚という説明がもっとも一般的と思われる。簡単に言えば,聞いた音の採譜(楽譜にすること)や再生ができることである。あらゆる音の絶対音を知覚し得るという説明もあるが,たとえば釘を金鎚で打つ音は,正確に知覚し得たとしても,知覚し得たことを表現しようがない。その上たくさんのフォルマントがあるので,音響学の専門家でも首をひねるのではないだろうか。また,音名を言い当てることができる知覚という説明もあるが,半音のさらに半分の音では音名での表現のしようがないのでふさわしくないと思われる。
いつごろから私に絶対音感が身についたのか自覚的には明らかではない。けれども小学校の高学年ではバイオリンで聞いた曲を同じ音高で弾いていたというから,その頃には絶対音感をもっていたことになろう。
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