講座
絶対安靜の看護
高橋 しゆん
1
1聖ロカ女子短大
pp.12-15
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909650
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絶絶対安静とは終日就床或は臥床をする事で,食事,排泄,洗面,はみがき,寝返り等患者自身の力をできるだけ使用しないような安静の仕方をいうのであつて,絶対に動かしてはいけないという従来の考えとはかなりその意味が変つてきている。従つてその看護の具体的方法も変つてくる。例えば一心不全,脳溢血,脊髄骨折等の場合の絶対安静であるが,患者を少しも動かさなかつたために起きる問題の方が,むしろ大きいということもあつた。又術後も同様長時間体位交換しないために肺炎,血栓などを起し死に到つたこともすでに衆知のことである。だから絶対安静は安静度の一番高いもので,精神的安静をも含み考えたり,見たり,読んだり,話したり,又声を出して笑つたりすることもしない状態をいう。しかしこうした安静の方法をとることが患者の耐えられない苦痛となるのであつてはならない。さてこれらを具体的に,どうすればこのような安静が与えられるか,次に述べてみると,第1に睡眠している間は最も理想的な状態である故に結核療養患者の一日のスケジュールをみても,午前1時間晝食後2時間などの安静時間が定められてある。この間は絶対安静である。このような状態をいかにさせるかが,問題になるが,1)睡眠剤,鎮静剤あるいは麻酔等によるものと,2)気持のよい環境を作る事である。
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