トピックス 音声外科
音声外科とアテロコラーゲン注入療法
丘村 煕
1
,
岡本 和憲
1
,
河村 裕二
1
,
湯本 英二
1
1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科
pp.117-123
発行日 1990年2月20日
Published Date 1990/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900020
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はじめに
声門閉鎖不全症に対する声帯注入術は長い歴史をもつ音声治療法の一つである。この間,組織親和性が良好で,安定して局所にとどまる声帯注入剤を求めて多くの検討がなされてきた。
注入用コラーゲンを軟部組織欠損への充填剤として初めて用いたのはKnapp(1977年)1)で,今日では生体への新しい注入剤として形成外科領域で広く利用されている。声帯への応用はFordが最初で2〜4),1984年に米国コラーゲン社のZydermコラーゲンインプラント®をイヌ声帯に注入し優れた組織親和性のあることを立証し,1986年には臨床応用にて良好な成績をえたことを報告している。著者らは高研から注入用コラーゲン(コーケンアテロコラーゲンインプラント®)が開発されたのを機会に成犬にて声帯注入剤としての有用性を確認した上で,臨床応用を行っている5,6)。本稿ではコラーゲン注入療法について,著者らの経験を中心にその概要を紹介する。
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