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Case
患者:47歳,男性
主訴:頭痛と後鼻漏
現病歴:約半年前より上記症状が出現し,近医耳鼻咽喉科を受診した。抗菌薬の内服と局所処置にていったん改善したが,症状が頻回に再燃した。精査ならびに手術適応の有無に関して判断するため当科へ紹介となった。
既往歴:線維筋痛症,6年前に鼻中隔矯正術,粘膜下下鼻甲介骨切除,後鼻神経切断術(当科)
検査所見:両側中鼻道に鼻茸(サイズ 右3,左1)を認めた(図1)。末梢血好酸球0.3%,アレルギー検査ではHD陽性(他院施行)。副鼻腔CT画像では右副鼻腔全洞がほぼ軟部陰影で充満していた。左副鼻腔も一部,粘膜肥厚と粘液貯留像が認められた。
手術所見:両側内視鏡下副鼻腔手術(ESS)Ⅳ型を施行した。中鼻道は右鼻腔を中心に浮腫状ポリープで充満していた。肥厚した粘膜をマイクロデブリッダーで鉗除したところ,右側の副鼻腔には非常に粘稠な貯留液の塊が存在していた。定型的に副鼻腔各洞の隔壁除去を行い自然孔を大きく開放し,ヘパリン加生食にて洗浄し,手術を終了した。
病理所見:副鼻腔粘膜の被覆上皮は中等度の再生性変化を示し,上皮下組織には浮腫と肉芽組織増生を伴った高度の好酸球浸潤,炎症細胞浸潤を認めた。同時にPAS陽性のフィブリン様物質(アレルギー性ムチン)の沈着を認め,グロコット染色でムチン中に真菌が認められた(図2)。術後に測定した総IgE値は4733 IU/mLと高値であり,真菌アレルギー検査ではアスペルギルス,アルテルナリア,カンジダがクラス2と陽性であった。
術後経過:上記の所見よりアレルギー性真菌性副鼻腔炎(allergic fungal sinusitis:AFS)と診断し,術後は内服ステロイドの漸減療法と自宅での鼻洗浄を指導した。
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