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特集 こんなときどうする? 術中・術後のトラブル対応
《咽頭・喉頭・頭頸部領域》
乳糜漏が止まらない
Continuation of chylorrhea
小川 武則
1
,
大越 明
1
,
香取 幸夫
1
Takenori Ogwa
1
,
Akira Okoshi
1
,
Yukio Katori
1
1東北大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
pp.66-69
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201486
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●こんなとき…
【症例1】53歳,男性,喉頭扁平上皮癌(声門上:T2N2cM0)
既往歴:特記すべきことなし
生活歴:喫煙60箱/年,ウイスキー2杯×20年
現病歴:6か月前に同時併用化学放射線治療を施行した。照射範囲は,前頸部+鎖骨上窩40Gy+両全頸部30Gyの70Gyであり,左静脈角付近は60Gy照射されていた。化学療法はTPF(ドセタキセル50mg/m2,シスプラチン60mg/m2,5FU 1000mg/body)1コースを施行した。
一次治療効果は,局所完全奏効(CR),頸部リンパ節は部分奏効(PR)であった。造影CTでは,左上内深頸,中内深頸にリング状造影効果を呈する長径10〜20mmの遺残リンパ節を認めたため,根治的頸部郭清術を施行した。レベルⅡ〜Ⅴ郭清術を行い,内頸静脈,副神経は温存したが,胸鎖乳突筋は切除した。レベルⅡ,Ⅲに最低5個の腫大リンパ節を認め,最大径24mm,複数リンパ節の癒合所見も認めた。上中内深頸リンパ節に遺残を認めた(図1a)。手術時間3時間15分,出血19mLであった。術後,頸部腫脹がみられ,滲出液は黄白色で多め(術後3〜6病日40〜50mL/日)であったが,術後8病日には25mL/日へ減少したためドレーンを抜去し,術後13病日に退院した。退院後に頸部腫脹が再燃し,18,20病日に外来処置を行ったが軽快なく,頸部腫脹,穿刺にて50mLの黄白色の貯留液を認めた。
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