書評
内視鏡下鼻内副鼻腔手術—副鼻腔疾患から頭蓋底疾患まで[DVD付]
川内 秀之
1,2
1島根大学・耳鼻咽喉科学
2日本鼻科学会
pp.133
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200829
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今日の鼻副鼻腔内視鏡手術の理論体系を見事に確立
300頁余を擁する本書は,鼻・副鼻腔あるいは関連領域の疾患に関する外科的治療について解説した,国内最高の教科書といえる。後世に残る歴史的なstate-of-the-artである。書評を依頼され読んでいくうちに,自分にフルボディのビンテージの赤ワインを味わう資格があるのかと,自問自答するはめになった。そのため,小職が多忙な仕事の合間を縫い時間をかけて熟読するのに2か月を要した。その理由には,二つの大きな要素がある。第一の理由は,本書が単なる内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術の技術的な解説書ではなく,高橋研三先生に端を発し高橋良先生に受け継がれ,多くの東京慈恵会医科大学の諸先輩の長年の努力により,熟成され築かれてきた集大成の結実であることをひしひしと感じたからである。第二の理由は,臨床医学としての鼻副鼻腔手術の技術革新に貢献する手法として,本書には鼻副鼻腔の機能解剖に関する研究の歴史と深い造詣が基盤にあり,東京慈恵会医科大学方式と謳われる今日の鼻副鼻腔内視鏡手術の理論体系が見事に確立されている点である。素晴らしい成書であると賞賛し感嘆するほかない。
各論に少々触れてみると,編者の森山寛名誉教授が述べておられるように,内視鏡下鼻内副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery:ESS)を志す若手の耳鼻咽喉科医から,症例経験の多い術者まで,幅広く,座右の銘として使える仕様になっている。付録のDVDは,解説書の理解を容易にし,その情報が2次元的に読者の脳に入ってくる。
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