書評
耳科手術のための中耳・側頭骨3D解剖マニュアル[DVD-ROM付]
加我 君孝
1,2,3
1東京大学
2東京医療センター臨床研究センター
3国際医療福祉大・言語聴覚センター
pp.164
発行日 2015年2月20日
Published Date 2015/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200516
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ビギナーには最初から,ベテランには後ろから読み進めてほしい書
現代の耳科学手術は人工内耳埋込術と頭蓋底外科というモダンな先端的手術と,60年の歴史のある鼓室形成術からなる。前者は耳科学のエキスパート,後者は耳科学を目指す新世代が最初に目標とする手術である。京都大学の伊藤壽一教授が他大学の参加者を募って,1年に2回,側頭骨の解剖を中心とする修練のためのコースを長い間開催してきた。国立大学の教室として,このような全国の耳鼻咽喉科医に対してコースを開催し続けたのは京都大学のみである。最近では世界中の各地の大学で同様のコースが企画されているが,私も駆け出しの頃,ロサンゼルスのHouse Ear Instituteの側頭骨解剖コースに2回参加した。このコースから学んだことはたくさんあった。しかし,昨年突然閉鎖されたため,この伝統あるコースもなくなった。私だけでなく世界各国からの参加者はその教育への熱意,臨床のシステム,研究,そして米国の耳科学の伝統に強い印象を受けたことと思う。日本で同様のことができるであろうか。
伊藤壽一教授と私は,UCLAに同時期に研究のために留学していたことがあり,それ以来親しい関係にある。ロサンゼルス留学で生まれた夢をわが国で実現したのが京都大学の側頭骨解剖コースと思われる。本書はその成果をA4判の大きなサイズの本に,鮮明な写真と3Dのstill写真と3D DVDが付録として付いている意欲作である。
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