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解剖の知識と手術の実践を兼ね備えた若手医師必携書
耳科手術を学び上達するには何が必要か。それは側頭骨解剖の知識と画像の診断能力,そして手術のイメージトレーニングと実践である。すなわち,まずはCTやMRI画像から病巣を読影し,側頭骨解剖と融合させ,手術のイメージトレーニングができるようになることである。
この度,医学書院から『耳科手術のための中耳・側頭骨3D解剖マニュアル[DVD-ROM付]』が刊行されたが,本書はまさにそれを可能にする書である。耳科手術のための側頭骨解剖書や手術書は数多く出版されているが,その多くはイラストや死体解剖あるいは手術写真で網羅的に解説されているため,解剖と実際の手術視野が一致しておらず,手術がイメージできないことが少なくない。耳科手術に必要なのは,いわゆる「surgical anatomy」で,手術のための実践的な側頭骨解剖である。本書の特徴は,①耳科手術に必要な最小限の側頭骨解剖と用語解説,②基本的な側頭骨CTの読影,③手術機器・器具の紹介と使用方法,④写真とDVD動画による死体側頭骨の手術解剖,⑤写真とDVD動画による手術の実際を有機的に秩序立てて解説している点である。また,手術は基本的な鼓室形成術から,人工内耳植え込み術,顔面神経減荷術と移行術,錐体部病変へのアプローチ,内リンパ囊開放,聴神経腫瘍手術など,ほとんどの中耳手術と側頭骨手術が網羅されている。そして,中耳手術の解剖では,実際の手術では剖出しない深部の内耳や顔面神経が描出されている。これは著者のメッセージでもある「内耳を知って中耳手術の限界を知る」を実践させるための方策で,長年にわたり中耳・側頭骨手術に携わってきた著者ならではの画期的なアイデアである。
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