特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
III.非癌性疼痛
舌咽神経痛の臨床像と治療法
塩谷 正弘
1
,
若杉 文吉
2
1関東逓信病院ペインクリニック科
2東京慈恵会医科大学
pp.915-919
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200437
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はじめに
頭痛は日常臨床で最も訴えられることが多い症状のひとつである。しかし,それ自身が治療対象となることは少ない。ところが,われわれがペインクリニック科で治療を行う慢性頭痛となると少しおもむきが異なる。これらの患者は,慢性頭痛のため日常生活が満足に送れない。その中でも重症の頭痛がペインクリニック科を訪れることとなる。
慢性頭痛の大部分は片頭痛と筋収縮性頭痛で占められる。一般臨床においてはその他の三叉神経痛,舌咽神経痛の頻度は限られたものである。しかしながら神経ブロックを主たる治療法として行うペインクリニック科においては,一般臨床と疾患構成が逆転しており,三叉神経痛,群発頭痛などの比較的まれとされている疾患群の頻度が高い特徴がある。われわれは片頭痛の約10倍の三叉神経痛患者を診ているが,それでも舌咽神経痛の患者は非常に低率で三叉神経痛の約1.7%である(表1)。
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