医療ガイドライン
アレルギー用剤の現状と近未来の展望
大塚 博邦
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.493-497
発行日 1989年6月20日
Published Date 1989/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200368
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I.はじめに
鼻アレルギーをはじめとするI型アレルギー疾患の発症にはいろいろな要因が関与するが,その中でとくに重要なのは抗原抗体反応により肥満細胞や好塩基球から遊離される化学伝達物質である。鼻アレルギーではヒスタミンが主役を演じていることはいうまでもないが,最近はロイコトリエンも症状の発現にとって重要な因子であることが明らかとなりつつある。また喘息においてはPAF (platelet activating factor),substance P,major basic proteinの関与も注目されている。
一方,鼻アレルギー,喘息などのI型アレルギー疾患は増加の傾向にある,といった話が聞かれるが,この問題は日耳鼻総会1),日本アレルギー学会2)のシンポジウムで取り上げられ,事実患者数は増加していることが明らかになった。その原因として食生活や生活環境の変化,とくに食物の多様化と添加物および防腐剤の問題,生活様式の変化に伴う抗原の増加,ストレス,大気汚染の影響などが指摘されている。
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