鏡下咡語
本邦最初の耳科教科書「耳科約説」について
原田 康夫
1
1広島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.140-141
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200307
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広島大学医学資料館に吉田顕三講述の「耳科約説」(図1)という,今から100年前の古い本が現存する。この本がどれだけわが国の耳鼻咽喉科学にとって大切なものか,知らないままに数年が過ぎた。ところが最近,吉田顕三先生の「天僕随筆」なるもののコピーを入手し,先生の人となりに興味を覚え,先生の生きてこられた頃の時代背景について少々調べてみたくなった。今回はそれはさておき,この「耳科約説」は現在ではなかなか入手できない珍本で,また耳科教科書としては日本で最も古い本の一つである。
わが国の初期の耳鼻咽喉科学の本としては4種の耳科書があることが,久保猪之吉編の「日本耳鼻咽喉科学全書」の第一巻の一(昭和8年4月刊)の年表に記されている。
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