特集 急患・急変対応マニュアル―そのとき必要な処置と処方
Ⅵ 術中・術後の急変への対応法
■術後編
耳下腺手術後の顔面神経麻痺
冨田 俊樹
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.328-331
発行日 2013年4月30日
Published Date 2013/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102502
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Point
◆耳下腺手術後に顔面神経麻痺をきたした場合,術中に顔面神経を切断していなければ,90%の症例は1か月以内に回復し全例とも6か月以内に治癒する。
◆ステロイドを含めた薬物療法は効果がない。
◆完全麻痺をきたした場合は,眼球の保護に留意し,リハビリテーションを行う。
◆術後性顔面神経麻痺に対する効果的な治療はないため,麻痺を予防することが最も重要である。耳下腺手術においては,経験豊富な術者が立ち会うこと,手術解剖を十分に理解していること,常に愛護的な手技を心がけることが求められる。
◆術前のインフォームド・コンセントを得る際に,顔面神経麻痺の可能性があることを強調するべきではないが,誠意ある説明は必要である。
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