特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅺ.好酸球関連疾患診療NAVI
2.好酸球性副鼻腔炎
野中 学
1
,
田中 友佳子
1
1東京女子医科大学耳鼻咽喉科
pp.313-317
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102179
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Ⅰ 概説
好酸球浸潤を顕著に伴う慢性副鼻腔炎を好酸球性副鼻腔炎という。成人型喘息(特にアスピリン喘息)を合併する慢性副鼻腔炎や,下気道疾患の合併がみられなくても血中好酸球増多を伴う慢性副鼻腔炎に多くみられる。Ⅰ型アレルギーの関与は問われないが,早期から嗅覚障害を訴え,両側の多発性鼻茸や粘稠な副鼻腔分泌物を認める1)(表)。
アレルギー性鼻炎と喘息は高率に合併し,1つの臓器として気道に起こる同じ炎症病態と考えられ,上・下気道の病態をまとめて把握しようとするone airway,one diseaseの概念が確立している。慢性副鼻腔炎と喘息の関係については,喘息患者の40~73%に慢性副鼻腔炎を合併し,逆に慢性副鼻腔炎患者の約20%は喘息に罹患する,と報告されている。また成人型喘息を有する慢性副鼻腔炎の副鼻腔陰影の程度をCTでスコア化し重症度分類すると,CTスコアと血中の好酸球数,CTスコアと喀痰中好酸球とは正の相関があると報告されている2)。喘息の重症度は喀痰中の好酸球数がよい指標になることを考えると,慢性副鼻腔炎の程度がひどいほど,喘息も重症であると考えられる。
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