特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI
3.唾液腺炎
吉原 俊雄
1
1東京女子医科大学耳鼻咽喉科
pp.191-194
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102156
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Ⅰ 疾患についての概説
唾液腺の感染症はさまざまな細菌やウイルス感染によって引き起こされるが,末しょう導管の先天異常,唾石の存在,全身疾患や免疫力低下,妊娠,ワルチン腫瘍などを背景に発症するものも存在する。主な症状は唾液腺の腫脹,疼痛,皮膚発赤と発熱などがみられるが,一方炎症症状を欠き慢性経過を呈する例もみられる。多くは耳下腺,顎下腺など大唾液腺の炎症疾患が臨床上の問題となる。大唾液腺では腫脹を認めるものの必ずしも感染によらない炎症性疾患があり,それらの鑑別も重要である。小唾液腺の炎症の頻度は低く局所的病変と全身疾患の一部を反映することがあり,口内炎や口唇腺の炎症として発現する。感染性,非感染性唾液腺炎についてその病態の把握と鑑別が大切である。
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