特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅴ.麻痺と痛みの診療NAVI
5.口腔・咽頭の痛み
八木 正夫
1
,
友田 幸一
2
1医仁会武田総合病院耳鼻咽喉科
2関西医科大学附属枚方病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.139-149
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102148
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科診療において口腔・咽頭の痛みは頻繁に遭遇する訴えである。口腔・咽頭の痛みを呈する疾病の大半は,いわゆるself-limitedであるが,早期に診断することで病悩期間を短縮できる可能性があり,また合併症を防ぐことになる。視触診にて診断可能なものもあるが,病変のみからは鑑別困難な疾病もあり,問診や全身症状の有無が鑑別の鍵になる。また明確な器質的所見が乏しいにもかかわらず症状を訴える神経性ないしは心理的要因によるものもあれば,口腔や咽頭とは離れている病変(心臓,食道,頸部の管腔臓器以外など)によって生じる口腔・咽頭痛もある。
他稿にこどもの診療および腫瘍性疾患についての記載があるため,本稿では,主に成人について腫瘍性病変を除いた口腔および咽頭の痛みを呈する疾病について概説する。なかには口腔・咽頭の両方に痛みを呈する疾病があるが,主に口腔の痛みを呈する疾病は前半に,後半に咽頭を主に冒す疾病について述べる。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.