Japanese
English
特集 最新の漢方診療
上気道炎・インフルエンザ
Upper airway inflammation・influenza
今中 政支
1
Masashi Imanaka
1
1いまなか耳鼻咽喉科
pp.293-296
発行日 2012年4月20日
Published Date 2012/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102112
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科医の中には,外科志向派(頭頸部外科医)と内科志向派(内耳関連疾患担当医など)と,そのハイブリッド型(鼻疾患担当医など)の医師がおられると思う。悪い所(病変)をすぱっと切って治すのを潔しとする外科志向派は,頭頸部癌など腫瘍性病変に力を発揮し,なかなか治らないめまいや耳鳴を苦手とする一方で,鼻アレルギーに対して不必要な手術をしてしまったりする。筆者に腹診を指導してくれた千福貞博先生は,消化器外科医出身だが,切れ味の良い効き方をみせてくれる漢方に魅了されるのは内科志向派ではなく,外科志向派だという。内科志向派の先生は,いつまでも執拗に学習を繰り返し,古典を読み尽くすまで実践しないなどと躊躇するのに対し,外科志向派は効くとわかれば,即実践に活かすというのだ。2000年の歴史を有する漢方を隅から隅まで勉強していたのでは,個人の寿命が尽きてしまう。かといって,医学部生時代の国家試験対策はもとより,医師になってからの専門医試験対策でも勉強しなかった漢方薬を使いこなすことなどできるのであろうか? 鼓膜切開術もままならず,眼振の観察にも自信がないままに市中病院へアルバイトに行ったことのある先生方が,真顔で質問してくるので笑ってしまう。われわれはすでに習うより慣れろを実践していたはずである。臆せずにまずは使ってみて欲しい。
漢方に少し精通すれば,鼻アレルギーに対して行う手術のほとんどは不要になるし,口蓋扁桃摘出術もしなくてすむようになる。究極のハイブリッド型・耳鼻咽喉科医になりたければ,漢方を知らなくてはならない。話がそれたので,もとに戻そう。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.