特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅲ.診断・治療をマスターする
2.中耳炎
飯野 ゆき子
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科
pp.221-227
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101848
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ 病因・病態
1.病態分類
中耳炎は側頭骨に生じる炎症性疾患として定義される。病期による分類では発症から3週間以内を急性期,3週間から3か月を亜急性期,3か月以上を経過したものを慢性期とするのが一般的である。また病態から,急性中耳炎,滲出性中耳炎,慢性中耳炎に大きく分類される。病態による分類を表1に示した。急性中耳炎は急性上気道感染に伴って鼻咽腔で増殖したウイルスあるいは細菌が耳管を通じて中耳に感染する病態である。また滲出性中耳炎は上気道感染に伴って,あるいは急性中耳炎の急性炎症が消退した後に貯留液が遷延している場合である。成人の場合は耳管機能障害から生じる。慢性中耳炎はほとんどの場合,幼小児期に上記の中耳炎病態が反復あるいは遷延し,その後遺症として起こる。鼓膜に穿孔がある穿孔性中耳炎,鼓膜の癒着が主病変である癒着性中耳炎,さらに鼓膜弛緩部あるいは緊張部後上部が上鼓室に陥凹してゆく真珠腫性中耳炎に大きく分類される。これらの中耳炎はさまざまな病態,すなわち肉芽性炎症あるいは硬化性病変などを合併することもある。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.