特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅲ.診断・治療をマスターする
1.外耳炎
中川 尚志
1
1福岡大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.217-220
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101847
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Ⅰ 外耳炎の病因・病態
外耳炎は,耳鼻科の外来診療でしばしばみる一般的な疾患である。その多くは,簡単な処置や投薬で治癒するが,時には難治性となる。
外耳炎を理解するために,まず外耳道の解剖と特殊性について述べる1)。外耳道は,外耳道孔から鼓膜まで皮膚が袋状に陥凹した管腔である。長さは約2.5cmで,内腔の直径は約0.7cm,二つの屈曲部を有し,緩いS字状を呈する。外側の3分の1は外耳道軟骨に囲まれた軟骨部外耳道で,内側の3分の2は側頭骨の外耳孔に囲まれた骨部外耳道である。骨部外耳道は薄い皮下組織を伴って骨が皮膚にほぼ直接覆われている。一方,軟骨部外耳道の皮下組織は厚く,耳垢腺や皮脂腺,有毛部を有している。
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