特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
3.ウイルス感染症
11)乳頭腫ウイルス
猪原 秀典
1
1大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.206-211
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101845
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Ⅰ 一般的特徴
1.はじめに
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)は乳頭腫(papilloma)や疣贅(verruca)を造るDNAウイルスである。宿主特異性が高くHPVはヒトにのみ感染し,皮膚や粘膜への接触感染により伝播する。120種類以上の型が同定されているが,疫学的調査によりリスク分類され,子宮頸癌で検出されるものが高リスク型,そうでないものが低リスク型とされる。高リスク型(16,18,31,33,35,45,51,52,58型など)は子宮頸癌のほぼ100%から検出され,また腟,外陰部,陰茎部や肛門周囲の癌からも高率に検出される。低リスク型(6,11型など)は良性の尖圭コンジローマなどの原因となる。本稿ではHPVの構造と生活環,HPVによる発癌,そしてHPVと関連した頭頸部領域の乳頭腫・癌について概説する。
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