特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
1.細菌・原虫感染症
6)緑膿菌
原田 保
1
1川崎医科大学耳鼻咽喉科
pp.96-100
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101825
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Ⅰ はじめに
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は,耳鼻咽喉科領域の感染症でしばしば遭遇する菌種である。本菌は広く自然界に存在し,土壌,下水あるいは汚水などや人では常在菌として上気道,消化管内(健常者の約10%)でみることができる。
本菌は弱毒菌であるため健常者に感染を引き起こすことはほとんどないが,免疫不全など全身的,あるいは慢性呼吸器感染症や尿路感染症など局所的な感染防御機能が低下した場合に原因菌になることがある。耳鼻咽喉科領域では菌交代症を起こしやすい慢性疾患,すなわち中耳炎,副鼻腔炎,上気道炎また気管切開後の管理時などで検出することが多い。そこで特徴,代表的感染部位,最近の話題および治療などについて述べる。
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