特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅷ.ことばの検査
1.言語発達検査
中澤 操
1
1秋田県立リハビリテーション・精神医療センター耳鼻咽喉科
pp.265-272
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101621
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Ⅰ はじめに
誕生したばかりの,まだ何も言えない子どもが,6歳頃には相手と自在に会話し自分の考えを系統立てて他者に説明ができるようになるほどの言語力をもつようになる。言語は人間の社会生活にとって欠くべからざるもので,母語習得のために人生で最重要な時期は0~6歳頃なので,幼児期の言語の遅れは早期発見や診断,そして早期介入(療育)が求められるわけである。ところが課題は,言語発達の評価が容易ではないことである。体重を体重計で量り,血糖値を簡易血糖値検査で簡単に測る,というようにはいかない。それでも多くの側面から対象となる子どもの言語発達を評価しなければ,療育方針も決めることができない。本稿では,子どもの言語発達に関して現在可能な評価方法を紹介しつつ,今後の課題も提起してみたい。なお,言語には音声言語と手話言語があるが,筆者には手話についての知識や経験が不足しているので(外国語のような位置にある),本稿では日本語音声言語についてのみ言及する。また,本稿で『言語』と称するときはLanguageを示し,Speechすなわち話し方(発音や構音)を示すものではないこととする。
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