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Ⅰ はじめに
ENG検査は,眼球の動きを記録する検査であるが,主に眼振を記録する目的としての電子機器を使った記録検査を称するが,眼球運動を記録する意味から眼科ではEOG検査(electro oculo graph検査)という。両者の違いは,ENGは規格を有する検査機器で,診療報酬も異なっている精度の高い記録機器である(図1)。最近,眼振記録にビデオカメラを使うようになり,手軽に診療補助として利用されている。ENGとビデオ記録の何が異なるのか,それぞれ一長一短がある。ビデオ記録は,動画として眼振や眼運動を見ることができるので,実際の動きを確認できるが,閉眼での眼運動は記録できない。
ENGの一番の利点は,閉眼での眼振・眼運動が記録できること,眼運動の動きの幅や速度について高精度の記録が可能である。このことから,眼運動の異常を左右・上下の動きとして記録・解析が可能である。記録法は記録用紙から最近はコンピュータモニター上で観察できるようになってきた(図2)。このことは,ペンレコーダの記録以上に,今まで不可能であった実際の眼球運動速度に近い速度波形を表示することができるようになった。
ENGを医師が記録していた頃には,診療の合間に検査時間を作って行っていたために,多くの検査を行うことができなかった。これは,全国的にENG検査ができる検査技師の人数が極端に少なかったためである。最近は,生理機能検査として中央施設や看護師・臨床検査技師が検査をすることができるようになり,広く平衡機能検査として行われるようになってきている。医師は,当然ENG操作をすることができるとともにENGを読むことができることは必須であり,検査内容・結果を指示することが知識や技術向上のうえで重要である。これらをふまえ,ENG検査について示したい。
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