特集 めまい—問診から治療まで
III.診断
平衡機能検査—自発眼振検査,頭位眼振検査
亀井 民雄
1
1群馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.743-747
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210192
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I.はじめに
物を見つめるためには視線が対象に向かって固定され,しかもその位置で暫くの問安定的に保持されなけれはならない。この眼位の安定・保持作用は反射性機構によるものであり,主として前庭眼運動系と視性眼運動系によって営まれ,一部頸反射により前庭神経核を介して行われる1)。
前庭眼運動系とは頭位の変化や頭部運動に対応し眼位の保持を行う反射系である。これに直接関与する神経系は迷路,前庭神経,脳幹,眼運動神経(第3,4,6脳神経)である1)が,さらに小脳が調整的に働く2)。これに対し視性眼運動系は注視対象の位置や運動に対応し,眼位の安定,保持をはかる反射系である。反射弓は視器,視神経,脳幹,眼運動神経(第3,4,6脳神経)から成るが,さらにこれに視覚や意志など大脳からの影響,および前庭系からの作用が加わる1)。
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