Japanese
English
特集 聴覚障害を生じる薬物
2.抗菌薬(アミノグリコシドを除く)
2.Antimicrobial(excluded aminoglycoside)
織田 潔
1
,
小林 俊光
1
Kiyoshi Oda
1
1東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
pp.753-758
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101502
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.マクロライド系抗菌薬
エリスロマイシン(商品名エリスロマイシン)は初めてのマクロライド系抗菌薬であり,1950年代早期より肺炎球菌性肺炎,レジオネラ肺炎,マイコプラズマ肺炎などの市中肺炎に対して広く使用されている。成人に対してはエリスロマイシンとして1日800~1,200mg(力価)を4~6回に分割経口投与する。また,より最近では,びまん性汎細気管支炎,慢性副鼻腔炎,滲出性中耳炎などに対する低用量投与も行われている。
1991年と1992年に米国食品医薬品局がクラリスロマイシン(商品名クラリス)とアジスロマイシン(商品名ジスロマック)を認可した。導入以来これらの新しいマクロライド系抗菌薬は呼吸器感染症,性感染症,ヘリコバクターやマイコバクテリア感染に対して用いられてきた1)。クラリスロマイシンはエリスロマイシンの修飾によって生まれた半合成マクロライドである。静菌的で時間依存性の抗菌薬であり,成人での1日量は400mg/日である。アジスロマイシンは1日1回500mgを3日間投与,効果は7日間持続する。尿道炎,子宮頸管炎に対しては1回1,000mgを投与し,有効な組織内濃度が約10日間持続する。アジスロマイシン600mgは後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制および治療が適応症である。現在,耳鼻咽喉科での日常診療で使用されているマクロライド系抗菌薬は,クラリスロマイシンが主流である。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.