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書評
―わかる!画像診断の要点シリーズ―3.わかる!頭頸部 画像診断の要点
Direct Diagnosis in Radiology:Head and Neck Imaging
市村 恵一
1
1自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.548
発行日 2009年7月20日
Published Date 2009/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101465
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この本は,Georg ThiemeからDx-Directとして画像診断シリーズとして出ているポケット本の1つである 『Direct Diagnosis in Radiology:Head and Neck 』の翻訳本である。原版はドイツ放射線科医の共著である。本書の訳者に,頭頸部画像診断で日本を代表する1人の尾尻先生を迎えたことは喜ばしい限りである。ご自身も『頭頸部の臨床画像診断学』(南江堂)を著されており,筆者も愛用させてもらっているが,今回はそれとは少し異なる切り口の本書の翻訳で存在感を示されている。
本書は頭頸部領域を頭蓋底,錐体骨,眼窩,鼻副鼻腔,咽頭,喉頭,口腔,唾液腺,頸部軟部組織,リンパ節の10章に分け,それぞれ5~12,全部で90の代表的疾患・病態(一部に正常所見も)を扱っている。その各項目では,2~3ページのなかに,概要,画像所見,臨床事項,鑑別診断,診断のポイントとピットフォールについて,きわめて簡潔明快に述べられている。よくここまで絞り込んだと感心する。示されている画像は臨床の現状を反映して,ほとんどがCTやMRIの画像であるが,きれいにまとめられている。参考文献リストとして各項目に3~5件ぐらいついているのは,参照にはちょうどよい数のようだ。原版でのそうした特徴を損ねず,明快に訳し出した訳者の力量に感服する。また,本書は訳者の配慮で,原版では小さかったり初心者にはわかりにくい部分を拡大したり,矢印をつけてくれているので,理解に役立つし,ところどころに訳注もある。
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