特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅰ.再建材料とその採取法
4.血管柄付き骨皮弁 2)腸骨皮弁
櫻庭 実
1
1国立がんセンター東病院形成外科
pp.49-51
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101417
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Ⅰ 概要
本皮弁は主として深腸骨回旋動脈により栄養され,通常は上前腸骨棘より後方の腸骨稜の部分および腸骨部の皮膚皮下組織で構成される骨皮弁として採取される。単一の血管柄で比較的大きな骨弁と,広範囲の皮島の移植が可能である。上前腸骨棘部の骨の形態が下顎角部の形態に類似していることから,下顎角部を含む欠損の再建に有用性の高い皮弁である。解剖学的変異は比較的少なく骨の血流は良好で,挙上も難しくはない。しかし皮島部分に関しては血流の不安定性が指摘されている。これは通常腸骨の血流支配が深腸骨回旋動脈優位なのに対して,腸骨部の皮膚が浅腸骨回旋動脈に栄養される場合も多いことによると考えられる。腸骨皮弁においては14~15cm程度と比較的大きく容量のある骨の採取が可能であるが,皮弁部分は皮下組織がかなり厚くbulkyになりやすい。頭頸部再建に用いる場合は体位変換が不要で,術野が離れているために切除と皮弁採取の同時進行が可能である。骨は厚みと高さをもって採取できるため,implantの埋入に適している。文献的に最初の報告例はO'Brienら1)が1976年に成功したものを1979年に報告したとされるが,Taylorら2,3)の報告は血管解剖を詳細に報告しており,これを端緒とするものが多い4)。
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