特集 オフィスサージャリー・ショートステイサージャリー
15.反回神経麻痺に対する手術
塩谷 彰浩
1
,
大久保 啓介
2
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
2佐野厚生病院耳鼻咽喉科
pp.123-128
発行日 2008年4月30日
Published Date 2008/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101254
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Ⅰ はじめに
一側性反回神経麻痺に対する代表的手術として,甲状軟骨形成術や披裂軟骨内転術,声帯内注入術が挙げられる。これら三者はそれぞれの特徴があるが,声帯内注入術は他の二者と比べ,頸部皮膚切開が不要で侵襲が小さく,オフィスサージャリー,デイサージャリーに適した手術といえる。
声帯内注入術は声帯の外側に何らかの物質を注入して声帯を内方に移動させる術式であり,さまざまな注入物質が用いられているが,基本的概念は共通している。注入物質は古くはわが国ではシリコンが用いられ普及していたが,豊胸術などで起きた異物性の問題が指摘され,生産が中止されてしまった。その後新しい注入物質を模索する時代が続いたが,最近になり注入物質がやっと出揃ってきた感がある。現在用いられている注入物質の代表的なものとしては,アテロコラーゲン1),自家脂肪2),リン酸カルシウム骨ペースト(BIOPEX®)3~5)がある。
本稿では,筆者らが積極的に施行している声帯内BIOPEX®注入術を中心に述べる。
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