鏡下咡語
古医学書と古書を求める楽しみ
加我 君孝
1
1独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター(感覚器センター)
pp.332-334
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101235
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小中学校の頃から東京に行くことができたら行ってみたいところが2つあった。神田古本屋街と秋葉原の電気街である。私は北海道空知郡の美唄市で生れ育った。私の育った三菱炭鉱地区は当時は函館本線の美唄駅から支線でSLで30分の山の中にあった。月刊誌の『少年雑誌』や『子供の科学』を読んでは想像を膨らませた。神田神保町の古本屋街は古本屋ばかりと紹介されているが,なぜ競合してやっていけるのであろうか。雑誌『子供の科学』の後の色ページに載っているカタログにラジオのパーツや天体望遠鏡や各種模型キットを通信販売している秋葉原のラジオ街とはどんな所であろうか。運よく東京の大学に合格して上京するや否やまず訪れたのはこの隣どうしの2つの地区であった。現在でもよく訪れるが,神田神保町の古本屋街は建物が新しくなり美しくなったが中味は変わらない。一方,秋葉原は見かけも中味も大きく変わった。昔ながらの家庭電器製品の安売と電気部品を売る小さい店ばかりあったところに巨大な量販店が登場したことと,パソコンを売るIT街への変貌である。しかし小さな店の密集したラジオ街は健在である。
折に触れ神田古本屋街を訪れるのが楽しみであることは今も変わらないが,夕方は6時30分には店を閉じ,日曜は閉店なのが残念である。昨年の8月末の神田古書祭りでは,古書会館で展示即売される本の目録が届いた。初めて作成したという。カラーページとリストがあった。これは趣味の本を探すのに便利である。カラーページには美麗で高価な本が並んでいる。
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