特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に
各論
4.頭頸部腫瘍術後の機能回復 2)舌癌・咽頭癌術後の嚥下
田山 二朗
1
1国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
pp.185-191
発行日 2007年4月30日
Published Date 2007/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101100
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Ⅰ はじめに
舌・咽頭は嚥下機能において重要な器官であり,この部分への手術的操作は口腔期・咽頭期の嚥下動態に大きな影響を及ぼす。癌の手術においては組織切除による欠損や形態の変化,運動機能の障害,知覚の障害などを生じ,高度な嚥下障害を生ずる可能性がある。また,頸部への手術操作や放射線治療の影響も考慮しなければならない要素である。
術後嚥下障害が生じた際,まず試みられることは残存した機能を最大に活用できるようにする,すなわち嚥下リハビリテーションであり,これは間接および直接訓練にとどまらず,食物の形態,食事の姿勢,嚥下方法から理学的療法までを含んだ総合的なものとして扱われている。リハビリテーションを効率よく行うためには,障害部位とその病態を把握し,障害に応じた内容を選択する必要がある。しかし,嚥下リハビリテーションによりすべての嚥下障害に対応できるわけではなく,手術治療をはじめとした治療計画において機能障害の可能性を考慮し,対策を立てておくべきであろう。ここでは嚥下障害に対するリハビリテーションを解説するとともに,症例を通してその限界について考えたい。
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