特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に
各論
4.頭頸部腫瘍術後の機能回復 1)口腔癌術後の咀嚼・嚥下
赤羽 誉
1
,
吉野 邦俊
1
,
荒木 千佳
2
,
北坂 美津子
3
1大阪府立成人病センター耳鼻咽喉科
2大阪府立成人病センターリハビリテーション部
3大阪府立成人病センター看護部
pp.165-172
発行日 2007年4月30日
Published Date 2007/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101097
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Ⅰ はじめに
口腔癌の治療,特に手術治療後には,準備期から口腔期を中心とした咀嚼障害のみではなく,咽頭期の嚥下機能にも影響を及ぼし,咀嚼から嚥下機能に対する一連の術後機能の低下が避けられない。特に切除範囲が大きくなると,手術後の機能障害がより高度となり,構音,咀嚼,嚥下といった日常生活の営みに影響を及ぼす結果となる。
昨今,機能温存手術が積極的に施行されており,切除後の再建手術の工夫1)だけではなく,術後の嚥下リハビリテーション(以下,リハビリと略す)も重要な位置づけにあるといえる。
全国的に頭頸部癌に精通したリハビリスタッフが少ないのが現状であり,今後,頭頸部癌治療に伴う咀嚼・嚥下に携わるリハビリスタッフの充実が課題と思われる。また,舌接触補助床(palatal augmentation plate:PAP)2,3)に代表されるような口腔内補綴物4)の作製に当たり歯科・口腔外科領域との積極的な連携も必要である。
本稿では,われわれが行った口腔癌症例を中心に,咀嚼・嚥下のリハビリについて述べる。
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