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連載 シリーズ/耳鼻咽喉科診療に必要な他科の知識
③内科:糖尿病
③Diabetes Mellitus
小谷 和彦
1
,
坂根 直樹
2
Kazuhiko Kotani
1
1鳥取大学医学部臨床検査医学
2神戸大学大学院医学系研究科分子疫学
pp.241-248
発行日 2003年3月20日
Published Date 2003/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101024
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I.はじめに
糖尿病とは,高血糖を基盤とし種々の代謝異常を伴う疾患群である。高度または急性の高血糖を生じた場合には,口渇,多尿,倦怠感,体重減少,嘔吐,腹部不快,めまいなどの症状が出現する。また,何らかの臓器合併症をきたした場合にもそれに応じた症状を呈する。しかし,通例では自覚症状のないことも珍しくない。糖尿病は,一般に慢性の経過をたどり1),その代謝異常に起因して神経障害,網膜症,腎症といった細小血管症や動脈硬化性の大血管症の病態につながっていく。
生活様式の欧米化につれ,本邦でも糖尿病患者が増加している。血糖値のみならず種々の合併症を制御することが,罹病者の生命予後や生活の質を改善すると考えられている。また,罹患者は特定の診療科にかかわらず受診する実態からも,より多くの医療従事者に糖尿病の知識の普及を図っていっそうの疾病対策にのり出す必要性も指摘されるところである2)。
本稿では,糖尿病診療への参加も促すべく,近年の糖尿病診療についての概説を試みたい。
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