特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
IV.補聴器フィッティング
佐野 肇
1
,
岡本 牧人
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.87-93
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100981
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I.はじめに
現在行われている補聴器フィッテイングの一般的な手順は以下のようなものである。まず,聴覚機能検査の結果と患者のニーズとを合わせて,補聴器の適応を判断する。次に聴覚機能検査の結果に基づいて適合する補聴器を選択し,補聴器特性測定装置を用いて調整する。この段階での調整は,純音聴力検査の値から計算される理想的な装用利得の目標値を目安に行われるが(規定選択法:ハーフゲイン,POGO法,NAL-R法など),その目標値が達成されているかどうかの確認は,次に述べる段階での検査が必要である。次に調整した補聴器を患者に装用させ,実際の装用利得が規定選択法の目標を達成しているか否かを,音場検査または実耳挿入利得の測定によって確認する。そして,ある期間その補聴器を試聴させたのち,音場での語音明瞭度検査および質問紙法などによる主観的評価を合わせてフィッティングの妥当性を評価する。客観的評価と主観的評価は時に互いに矛盾する結果が得られることがあり,その場合には妥協点をどこに見出すかということが最終決定に至る際の重要なポイントになる。
本稿では,以上の補聴器フィッティングに関わる諸検査のうち,補聴器を装用した耳への機能検査である音場検査,実耳挿入利得測定の2つについて述べることにする。
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