特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
I.聴覚検査
5.音響性耳小骨筋反射検査
柿木 章伸
1
,
竹田 泰三
1
1高知医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.39-44
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100975
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I.はじめに
音響性耳小骨筋反射検査は,耳鼻咽喉科外来で行える最も簡便な他覚的検査の1つである。Feldmann1)によると,1867年にLucaeが音響インピーダンス測定を用いて中耳機能の評価を試みたことに始まる。ある程度以上の大きな音を曝露すると両側のアブミ骨筋が収縮することは知られていたが,1946年にMetz2)が伝音および感音難聴患者のアブミ骨筋収縮に関する論文を報告すると,音響性耳小骨筋反射検査に大きな診断的価値が存在することが広まった。その後,耳小骨筋と音響性耳小骨筋反射に関する研究が盛んに行われることとなった。
中耳には2つの耳小骨筋があり,1つは顔面神経支配のアブミ骨筋であり,もう1つは三叉神経支配の鼓膜張筋である。下位の哺乳類では強大音に対し両側性に2つの耳小骨筋が収縮する。ヒトにおいてはアブミ骨筋のみが音響刺激により収縮し,鼓膜張筋は驚愕反射的に収縮すると推測されている。しかし,高度顔面神経麻痺例で鼓膜張筋の収縮が記録されることも報告されている3)。ただし,市販の測定器で鼓膜張筋反射が記録されることは稀であり,臨床的には測定器で記録される反射はアブミ骨筋反射(SR)と考えて差し支えない。したがって本稿では主にSRについて述べる。
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