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I.はじめに
ベル麻痺とは,急性に発症した顔面神経麻痺のうち,麻痺原因となり得る急性や慢性の中耳炎,頭蓋や側頭骨外傷,中枢性や末梢性神経疾患,自己免疫疾患,帯状疱疹性麻痺(Ramsy Hunt syndrome)のような誘因が除外でき,かつはっきりとした病因が同定できないものを称する1)。
小児においては小児科を優先的に受診し,ステロイドを処方されることが多いが,小児症例の予後は成人症例に比較して良好であり,ステロイドの有効性は疑問視されている2~4)。
小児顔面神経麻痺症例に対するステロイド使用の臨床効果の比較報告は少なく,小児ベル麻痺症例のみで厳密に行われた報告では,生後24~74か月までの小児42例を対象としたUnivarら3)の報告の1編のみである。
今回われわれは,当院を受診した小児ベル麻痺症例に対して治療法別の予後を臨床的に検討し,ステロイド投与が治癒率や改善期間に及ぼした影響とその有用性について検討したので報告する。
During a 12-year period from January,1991 to December,2002,we investigated 24 children under age 15 with Bell's palsy. Of 24 cases,12 were treated with steroids,10 were treated with vitamin B12 and circulatory activating drugs,2 were put under observation without treatment.
Overall the recovery rate was 100%. Steroids did not influence on improving recovery rate or by decreasing the time period to recovery.
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