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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の癌化学療法レジメン
Ⅲ.臓器特異的なレジメン
3.甲状腺癌
3.Chemotherapy for Thyroid Cancer
寺田 聡広
1
,
長谷川 泰久
1
Akihiro Terada
1
1愛知県がんセンター頭頸部外科
pp.979-982
発行日 2004年12月20日
Published Date 2004/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100766
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I.はじめに
甲状腺分化癌は一般的には予後良好な癌腫である。甲状腺分化癌治療の第1選択は外科的切除であり,通常は化学療法や放射線治療が適応となることはない。最も頻度の高い乳頭癌では手術により90%以上の10年生存率が期待できる。
このように予後良好な甲状腺分化癌に対して,全甲状腺癌中の1~2%を占めるといわれている甲状腺未分化癌は,同じ濾胞上皮由来でありながら急速な浸潤性の発育を示し,患者の多くは診断後1年以内に死亡する極めて予後不良の癌である。このような甲状腺未分化癌においても手術療法,放射線治療,化学療法を併用することで長期生存が得られたとする報告がなされており1),現状では甲状腺未分化癌の根治を目指すにはこれら三者を併用した集学的治療が唯一の方法であると考えられる。また,甲状腺未分化癌はその進行の速さゆえ,診断時には既に切除不能である場合や遠隔転移を有することも往々にしてみられる。そのような場合には化学療法,放射線治療が主たる治療となる。甲状腺未分化癌の死因としては,原発巣死に加え遠隔転移死がその多くを占める。手術療法および放射線治療は局所療法として重要であるが,さらに遠隔転移を視野に入れた全身治療としては化学療法をおいてほかにない。したがって,甲状腺未分化癌に対する集学的治療における化学療法の役割は非常に重要であるといえる。
本稿では甲状腺癌に対する化学療法の歴史をたどり,最近の甲状腺未分化癌に対する化学療法レジメンについて国内外の文献をレビューする。
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