特集 耳鼻咽喉科疾患と高齢者(65歳以上)への対応
2.全身管理
3)耳鼻咽頭科手術における高齢者への周術期管理―合併症の予防のために
西村 欣也
1
1順天堂大学医学部麻酔科学講座
pp.691-696
発行日 2006年8月20日
Published Date 2006/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100739
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Ⅰ.はじめに
今日,手術医学の進歩により高齢者への手術適応が急速に広がり,85歳以上の超高齢者に対しても心臓手術をはじめ,あらゆる疾患に対する手術が行われるようになった。手術に際して,老化による臓器予備力の低下,疾患に対する脆弱性,代謝機能の低下を考慮したとしても,ひとり一人の個体差も大きいことから周術期管理においては,それぞれの患者に適した治療計画が要求される。そのうえで高齢者の周術期管理では全身状態を把握し,危険因子を改善しつつ合併症の予防に努めなくてはならない。
最近の平均寿命の増加や出生率の減少により,高齢者の数とその割合は年々増加している。当然のことながら高齢者への手術件数も増えている。高齢者の周術期管理を行ううえで,麻酔をはじめ外科技術の進歩のみならず,手術医学に関する情報も安全管理に大きく貢献していると思われる。ここでは高齢者の生理学的変化を考察しつつ,今までに議論された報告をもとに,高齢者患者に関係する術中合併症を取り上げ,その対策について考察してみたい。
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