特集 頸部リンパ節腫脹
3.頸部リンパ節炎,伝染性単核球症
高橋 光明
1
,
小林 祐希
1
1旭川赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.545-550
発行日 2005年7月20日
Published Date 2005/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100161
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Ⅰ.はじめに
人体には1mmから1~2cm大のリンパ節が600個はあるといわれ,その1/3の200個が比較的小さな領域である頸部に存在する。このことは,常に細菌やウイルスなどの病原菌にさらされている鼻腔,口腔咽頭の二次防御システムとしての頸部リンパ節の重要性を物語っている。健常状態では,頸部リンパ節は小さく軟らかいため触知できない。しかしながら頸部のリンパ節に炎症が起こり,1cm大以上に腫脹すると触知するようになる。頸部リンパ節炎は,リンパ節に炎症が起こり痛みや腫脹がみられる場合をいう。経過から急性,亜急性,慢性に分けられる。原因はウイルス,細菌などによる急性感染性リンパ節炎が最も多くみられる1)。稀に膠原病や原因不明などの反応性リンパ節肥大,あるいは肉芽腫を形成するリンパ節腫脹がある(表1)。特に結核をはじめとする肉芽腫性リンパ節炎(別項参照)は重要である。
本稿では,まず急性の感染性リンパ節炎について述べ,代表的なウイルス性リンパ節炎をきたす伝染性単核球症についても症例を呈示しながら説明する。
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