特集 聴力改善手術
1.滲出性中耳炎
1)鼓膜切開術,鼓膜換気チューブ挿入術
高山 幹子
1
1東京女子医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.7-18
発行日 2005年4月30日
Published Date 2005/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100111
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Ⅰ.鼓膜切開術
1.手術概念
滲出性中耳炎は,上気道炎と耳管および乳突蜂巣粘膜を介した中耳腔の換気障害が相互に影響し合って成立したものとされる1)。
一般に中耳腔に貯留する滲出液,あるいは滲出性中耳炎の経過中に急性感染症を併発し貯留した膿汁は,鼓膜を切開することによって排液・排膿を行い,中耳腔の粘膜を正常化し貯留液の消失・治癒を行わせることである。この貯留液中の細菌の検出率は30%程度であるが,PCR法によって検出される率は90%以上と高率に検出されている1)。また,鼓膜の穿孔が貯留液の排出に不十分な小穿孔の場合も鼓膜切開を行う。
滲出性中耳炎の主たる症状は難聴であり,鼓膜切開は難聴の聴力改善を行う重要な治療法である。したがって,滲出性中耳炎に限って行う鼓膜切開術は,中耳腔の滲出液を鼓膜の切開創から吸引・排除し,速やかに聴力の改善を行うのみならず,耳閉感の軽減や消失を目的とする。
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