Japanese
English
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
①突発性難聴
①Idiopathic sudden sensorineural hearing loss
栗田 昭宏
1
,
小川 郁
1
Akihiro Kurita
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.249-255
発行日 2006年3月20日
Published Date 2006/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100040
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Ⅰ はじめに
クリニカルパス(clinical pathway:以下,パス)とは,元々は製造業における効率化,標準化を目的とした経営工学上の概念であったが,1980年代より医療の効率化を目指してアメリカで導入された。その背景には,アメリカで医療費節減の政策としてDRG/PPS(diagnosis related group/prospective payment system:診断群別見込み支払い方法)が1983年より導入されことがあり,パス導入の最大の目的は医療のコストコントロールであった。本邦では2003年から特定機能病院において,診療報酬が従来の出来高算定からDPC(diagnosis procedure combination:診断群分類構築)と呼ばれる疾患ごとの分類に基づく定額支払い制に代わり,ますます医療の効率化が求められるようになった1,2)。
また,EBM(evidence based medicine)に基づく診療ガイドライン作成,インフォームド・コンセントなど医療の質,患者の権利が,近年,強く問われるようになり,医療サービスの向上の手段としてもパスを導入する医療機関が増えてきている。しかし,原因不明であることが診断の根拠となる突発性難聴は症候群的な疾患概念であり,特効的な治療法が確立されていない,EBMに基づく診療ガイドラインもいまだ作成されていないなど,臨床的にはさまざまな問題を抱えた疾患である。
本稿では,突発性難聴に対するパスに関して,主に医療経済的側面から考察したい3)。
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