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特集 突発性難聴の今
2.突発性難聴と突発難聴・特発性難聴
2. Sudden and progressive sensorineural hearing loss
中島 務
1
,
杉浦 真
1
Tsutomu Nakashima
1
1名古屋大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学
pp.199-204
発行日 2006年3月20日
Published Date 2006/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100031
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Ⅰ.はじめに
突発性難聴の診断基準は,1973年,旧厚生省特定疾患突発性難聴調査研究班により作成され,30年以上経過した現在も同じものが用いられている1,2)。突然の高度な高音難聴で原因不明であることが,その診断基準の中心となっている。
特発性両側性感音難聴の診断基準は,1977年,旧厚生省特定疾患両側性感音難聴調査研究班により作成された3)。診断基準は,進行性で原因不明で両側性ということが中心となっている。この診断基準では,一側性のものは参考例としている。最近,遺伝性難聴の診断が進み,以前は特発性難聴とされてきたものが,遺伝性と診断される症例が増加してきており,原因不明という診断基準に合う患者数は次第に減りつつある3)。
突発難聴は,突然の感音難聴で原因がわかったものも,不明のものも含み,突発性難聴より広い概念である。原因のわかった突発難聴には,ムンプス難聴,外リンパ瘻などが挙げられる。このほか,最近,画像診断の進歩により内耳出血と診断されるケースが増加してきている4~6)。
突発性難聴も特発性難聴も,診断基準で原因不明という項目を含んでいるので,診断技術の進歩により,突発性難聴,特発性難聴という診断名は減少していく。ただし,どのようなものを原因が明らかとして除外するか,突発性難聴・特発性難聴ともに検討すべきことが多い。「突発性難聴の今」における本稿では,原因が明らかとはいえないが,病態がみえてきた例を中心に述べる。
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