連載 眼の組織・病理アトラス・48
網膜上膜
向野 利彦
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1732-1733
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908265
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さまざまな網膜硝子体境界の病変において,内境界膜上に細胞が出現することが病理組織学的に知られている。日常の臨床において,黄斑部を中心に網膜内境界膜上に膜状物をみることは多く,セロファン黄斑症,網膜前黄斑線維症,網膜前膜などと呼ばれてきた。最近は網膜上膜と呼ばれる傾向にある。網膜上膜は網膜血管病変,眼内炎症,網膜剥離手術,穿孔性眼外傷,慢性変性疾患などに続発してみられるが,原疾患を明らかにできない特発性もある。
検眼鏡的には,網膜表面にうすい線維状の膜を形成し,軽度の反射亢進を示す例(図1)から,明瞭な膜を形成するもの,さらに膜の収縮・牽引により雛襞を形成し,網膜血管の屈曲,蛇行を示す例(図2)までさまざまな段階がある。
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