特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅲ.術後管理の実際
1.術後管理のポイント
線維柱帯切除術の術後管理
大鳥 安正
1
1大阪大学大学院医学系研究科眼科学視覚科学
pp.257-260
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907930
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はじめに
トラベクレクトミー(trabeculectomy:以下,線維柱帯切除術)は,患者の創傷治癒能力に依存する手術であるため,同じように手術をしてもすべてが全く同じ術後経過をたどるわけではない。術直後から眼圧が目標とする値まで下降し,何の合併症もなく経過するというのが理想ではあるが,マイトマイシンC (MMC)や5—フルオロウラシル(5—FU)などの線維芽細胞増殖阻害薬を併用する最近の術式では,術後の低眼圧を避けるため強膜弁をtightに縫合し,術後にレーザー切糸術で眼圧を調整していくというのが基本である。すなわち,線維芽細胞増殖阻害薬を併用する線維柱帯切除術は,手術自体は眼圧を下げる準備をするもので,術後管理で眼圧を目標とする値に調整するものといえる。したがって,いかに適切な術後管理をするかが術後の眼圧レベルや視機能を決めるといっても過言ではない。
ここでは,主にMMC併用線維柱帯切除術の術後管理のポイントについて解説したい。
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