連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・25
線維柱帯切除術(2)
新家 真
1
1東京大学医学部眼科
pp.54-56
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900492
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術後早期合併症の注意点
線維柱帯切除術(trabeculectomy)の術後早期の注意点について述べる。Trabeculectomy術後,全く何らの合併症も起こさず,眼圧が十分に低くコントロールされ,かつ濾過胞の出来具合も十分であるというのが理想であるが,実際は表に示すごとく,理想どおりにゆくのはむしろ少数で,約半数以上は術後早期に合併症を伴う。この合併症は,十分な前房水の結膜下への漏出という手術効果と表裏一体であり,術後合併症に神経質になる余り,強膜弁縫合を強く締めすぎると,当然長期的な濾過胞形成不良という結果を招くことになる。
この濾過手術を行う限り,なかば当然の理論的帰結である,術後早期の過剰濾過による合併症といかにうまく共存し,かつそれをいかに処理するかが,trabeculectomyの成否にとって,手術自体と同様に,またはそれ以上に寄与していると考えられる。
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