特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
3.開放隅角緑内障
b.手術
線維柱帯切除術のポイント
川瀬 和秀
1
1岐阜大学大学院医学研究科神経統御学眼科学
pp.280-286
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102972
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
線維柱帯切除術は,どのタイプの緑内障においても眼の機能を維持しながら眼圧を下降させることができる最終手段である(毛様体破壊術は房水産生を極端に低下させるため生理的な状態を維持することは難しい)。しかし,術何年後かには少なからず眼圧が上昇する。平均寿命を考えると1回で終わるとは言い難い手術であり,先を見据えた手術の選択および手術の方法を行う必要がある。
線維柱帯切除術は基本的な手技のみで施行可能であり,初心者でも案外うまくできてしまうが,安定した結果を得ることは熟練した術者が行っても難しい。これは,手術の結果を決める要素が多彩であり,術前・術中・術後のさまざまな変化やアレンジにより眼圧コントロールの結果はまったく異なるものとなってしまうからである。このため,本を読み,達人のビデオを参考にして,そのとおりに手術を行っても安定した自分の納得できる結果を得ることは不可能である。結局,経験による自分なりの手術方法と術後の管理法の確立が必要となる。
ここでは,線維柱帯切除術を施行する術前・術中・術後,外来管理における眼圧コントロールに関与するチェックポイントについて,異論があるかもしれないが,あえて筆者の経験から極力具体的に解説する。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.